今回は生まれてから言葉が出るまでの間1歳ぐらいですかね、それまでの間に言葉が出るまでの準備をどのようにしているかっていう話をしていきたいと思います。
三つの視点からお話ししたいと思うんですけれど、一つは「人との関わりの中でどのように言葉が発達してるか」、二つ目は「モノとの関わりの中でどのように発達しているか」、三つ目は「モノを介した人との関わりの中でどのように発達していくか」、という風に分けてお話ししたいと思います。
1.人との関わりの中でどのように言葉が発達してるか
赤ちゃんは生まれてから泣いたりすると、大人の人があやしてくれたり、笑ったりすると気にかけてもらったり、大人の人から一方的に関わることが中心になっていきますよね。
生まれて4ヶ月ぐらいになると赤ちゃんが「あー」とか「うー」とか発声してる時に、大人の人が何も反応しないでいると、しばらくしてから赤ちゃんは発声して(声を出して)反応を得ようとする行動が見られるんです。
それは大人の反応を期待している証拠です。
大人はちゃんと反応してくれるって言うことを4ヶ月ぐらいになると気づいてくるんですよね。
それっていうのは、こちらが言うと相手が答える相手に対してこちらが答えると言ったような「ターンテーキング」と言うんですけれども、その芽生えと言わています。
2.モノとの関わりの中でどのように発達していくか
少し動けるようになると身の回りにある物を掴んで口の中に持って行ったりとか探索したりしますよね。
もう少し動けるようになると、例えば四つ這いができるようになると、興味があるもののところまで近寄って行って触ろうとしたり、好奇心に合わせて自分の体を動かして興味があるところに行って、見て触ってみようとします。
そこでその赤ちゃんがとった行動に合わせて大人が声かけをしますよね。
例えば持っていたモノがポトンと落ちたら「ポトンと落ちたね」とか、コロコロって転がしたらそれに合わせて「ころころころ」って声をかけたりします。
そこで赤ちゃんは、自分がとった行動とか目の前に起こったような現象に「コロコロとかポトンとか、音が付いてる」って事に気が付くんですね。
そのようにして言葉が赤ちゃんの中にストックされて行きます。
3.ものとの関わりの中でどのように発達していくか
生まれて半年くらい経つと相手の人が右を向くと右、左を向くと左っていう風に相手の人が見てる方向を見たり、その先に何があるかっていうのを見つけられるようになってきます。
それは相手の人の視線とか体の向きを頼りに、相手が見ているものを見つけられるようになったっていうことなんですね。
で、それを積み重ねていくと、生まれて9ヶ月頃ですかね、今度は相手の顔や視線とか指さしを手がかりにしてその先にあるものに注目するようになってきます。
それが「共同注意」と言われるものです。
相手が見ているものと同じものを見ることができる。
例えば「これ見て」って言った時に、視線を同じ指さしの先に持って来れるかどうかっていうことなんですけども、その共同注意ができるとこちらが教えてあげやすくなるんですね。
共同注意がたくさんあるお子さんは語彙力(言葉の数)がとても増えていくと言われています。
自閉症のお子さんの多くは、その共同注意が難しいとも言われています。
「ここ見て」って言っても、指の先になかなか注意を向けられなかったりします。
同じタイミングで見せるのが難しいのが、自閉症のお子さんの特性だと思います。
3つのまとめ
1.人との関わりの中で学べること
これはやり取りのベースとなっていきます。
2.モノとの関わりの中で学んぶこと
ものを使うことで目の前で起きた現象とか物の動きとかに合わせた言葉を学んでいきます。
3.モノを介した関わりの中で学べること
これは人が見ているものに注目することができるようになると「人に教わるっていうことが学べる」ようになります。
言葉が出ない時期も、言葉が育つ大切な時期
まだ言葉が出てない段階でもこの3つのことを、少しずつ学んでいる時期なんですね。
これは、コミュニケーションの基礎となりますので、とっても大切なことです。
もしお子さんの言葉が出にくかったり、指差しがまだ出なかったりっていうことを心配されてるお母さんがいらっしゃいましたら、もうちょっと前段階、先程言った「3つのことのどれが難しいか?」ということ、「3つのことができてるかな」っていうことを確認して見てください。
もし指さしが難しいお子さんだったら、指差しを教えるのではなく、「指の先を見る事ができているかどうか」を確認してもらったり、促してあげると、指差しに繋がっていきますよ。