
「うちの子、言葉が遅い気がする…」と感じたお母さんへ
日々の子育ての中で、ふとした瞬間に「まだ言葉が出ないのは遅いのかな?」と心配になること、ありますよね。
他の子が楽しそうにおしゃべりしているのを見たり、月齢が近いお友だちが「ママ」「おいしい」などと話しているのを耳にしたとき、「どうしてうちの子は…」と不安になったり、自分を責めたくなってしまうこともあるかもしれません。
インターネットで検索してみたら、「発達障害」「自閉症」といった言葉が出てきて、ますます気持ちがざわざわしてしまった方もいらっしゃるでしょう。
この記事では、そんな不安なお気持ちにそっと寄り添いながら、言葉が出てくるために必要な7つの大切な力と、おうちでできる小さなサポートについて、できるだけわかりやすくお伝えしていきます。
「今、私にできることが知りたい」と思っているお母さんへ。療育や診断の前に、まずは一緒にできることを探していきましょう。
1. 「伝えたい!」という気持ちを大切に育てよう
ことばの出発点は、「これを伝えたい!」という心の動きです。
たとえば、「ジュースが飲みたい」「あのおもちゃがほしい」「これを見てほしい!」という思いがあるからこそ、人は言葉を使おうとするようになります。
言葉がまだ出ていない時期でも、表情や指差し、声を出して知らせようとする仕草が見られることがあります。
そうした「伝えたい気持ち」が芽生えているサインを見逃さずに、「そうなんだね」「教えてくれてありがとう」と応えてあげることが、ことばへの第一歩につながります。
気持ちを受け止めてもらえる安心感が、「伝えるって楽しい!」という経験に変わり、やがて言葉を使ってみようという意欲が育っていくのです。
2. 言葉の“引き出し”を少しずつ増やしていく
言葉を話すには、「知っている言葉」が頭の中にたくさんあることが大切です。
私たち大人でも、知らない言葉は話せませんよね。子どもたちも同じです。話す前に、まずは言葉を「たくさん聞いて」「理解して」いくことが土台になります。
日常の中で、「りんごだね、赤くておいしいね」「ブーブーが走ってるよ」など、見たり触れたりしたものを、その都度言葉にしてあげることで、少しずつ語彙が蓄積されていきます。
絵本の読み聞かせもおすすめです。ストーリーが理解できていなくても、お母さんの声のトーンや繰り返しのリズムが心地よく、ことばへの興味を育むきっかけになります。
お子さんの中の“ことばの引き出し”を、ゆっくり丁寧に増やしていきましょう。
3. 聞いて理解する力を育てることから始めよう
言葉を話すことばかりに目が向きがちですが、実は「聞いてわかる力(受容言語)」の方が先に育ちます。
「お外行こうか」「バイバイだよ」など、普段の声かけにお子さんが反応していたら、それは受け取る力が育ってきている証です。
この“理解する力”がしっかりしてくると、今度は「自分でも言いたいな」という気持ちが出てくるようになります。
言葉を話し始める準備段階として、この「聞いてわかる」「指示に応じる」「表情や状況から意味を感じ取る」力を丁寧に育てていくことが、とても大切なステップです。
焦らず、まずは「わかる喜び」をたくさん味わえるような関わりを心がけてみましょう。
4. まねをすることが、ことばの第一歩になる
子どもは、大人のまねっこをしながらいろんなことを覚えていきます。
動きのまねをすること、音をまねすること。これは言葉を話すためのとても大切な力です。
「ブーブー」「パッパ」「ワンワン」など、大人が楽しそうに発していると、それをまねして声に出すようになることがあります。
遊びの中で「一緒にまねっこしよう!」という気持ちが芽生えると、言葉の模倣にもつながりやすくなります。
真似る力は、「聞いて覚える」「まねして発してみる」ことにつながり、やがて自然な発語へと結びついていきます。
お子さんのまねっこしたい気持ちを見つけたら、それをうんと褒めてあげてくださいね。
5. 音を楽しむあそびが、言葉への入り口に
ことばを発するためには、口や舌、のどを使って音を出す練習が必要です。 でも、それを「練習」としてするのではなく、楽しい遊びの中で自然にできるのが理想です。
「ふーっと吹く」「ぷーっと鳴らす」「ラッパを吹いてみる」「声を出して笑う」。そんな音の出る遊びは、発語に向けた準備になります。
童謡を口ずさんだり、手遊び歌を一緒に楽しんだりすることで、リズムや音の高低に親しみながら、ことばのリズムを体に染み込ませていくことができます。
遊びの中で「声を出すのって楽しい!」という経験を積み重ねていくことで、自然とことばが出る準備が整っていくのです。
6. 大好きな人とのやりとりが、ことばの栄養になる
ことばは、誰かとつながるための道具です。
だからこそ、「大好きな人とのやりとり」の中で育っていきます。
お母さんと見つめ合って笑い合う時間や、一緒に絵本を読んだり、ごっこ遊びをしたりする時間が、言葉を育てるいちばんの栄養です。
「これ見て!」「ママ、これなあに?」といったやりとりが生まれるのは、「わたしの気持ちを聞いてくれる」「この人とやりとりするのが楽しい」と感じられる関係性があるからこそ。
言葉の量よりも、まずは「安心してやりとりできる関係」を大切にしてみてください。
7. 話したくなる環境を、やさしく整える
子どもがことばを話したくなるのは、「ちゃんと聞いてもらえる」「わかってもらえる」という体験があるからです。
まだ言葉になっていなくても、「これかな?」「○○したいの?」と、お母さんが気持ちを代弁してくれることで、子どもは「伝わった!」という嬉しさを味わいます。
そして、すぐに先回りして言ってしまうのではなく、少しだけ待ってあげると、「自分で伝えよう」とする気持ちが生まれることもあります。
おうちの中が、「安心して伝えられる場所」になることで、ことばの芽が少しずつ顔を出してくれるようになるのです。
最後に:あせらず、寄り添いながらできることを
お子さんは、今、その子なりのペースで、たくさんのことを吸収し、感じている途中です。
言葉の出方には個人差がありますし、ゆっくりタイプのお子さんもたくさんいます。
でも、心配な気持ちが膨らんでしまうときは、一人で抱え込まないことも大切です。
「ちょっと話を聞いてほしい」「これで合ってるのかな」と思ったときには、ぜひこども発達LABO.のオンライン相談をご活用ください。
言語聴覚士の視点で、お子さんの「今の状況」を判断し、「これからできること」を一緒に考えていきます。
オンライン相談をご利用いただいた多くの方から、「相談してみてよかった!」「我が子のことをもっと理解してあげたいと思いました!」といったお声をいただいています。
あなたにも、そんな前向きな気持ちになっていただきたいと願っています。