
お子さんの発達について気になることが増えたとき、診断を受けるかどうか迷う方も多いのではないでしょうか。診断がつくことで安心する方もいれば、逆に不安が高まる方もいらっしゃいます。
ですが、最も大事なのは診断の有無ではありません。
なぜなら、診断が付いたからといって、何か治療法が変わるものではないからです。
※一部薬によって、症状をコントロールするものもありますが、原則方針が診断前と診断後で大きく変わるものはありません。
一番大事なことは、「特性によって、生活に不自由さが出ているお子さんに対する具体的な手立てを考えていくこと」です。
診断の有無よりも大切なこと
診断はあくまで「お子さんの特性を理解するための手がかり」の一つです。しかし、それ自体がゴールではありません。
例えば、発達障害の診断がついた場合、それは「お子さんがどのような困難を抱えているのか」を整理するための材料にはなりますが、診断そのものが支援の方向性を決定するわけではありません。
むしろ、診断がなくても、お子さんの困りごとを見つけ、環境調整を行い、適切なサポートを提供することが最も重要です。
生活の中で実践できる具体的な手立て
お子さんの困りごとは一人ひとり異なります。同時に具体的な手立てもお子さんによって変わってきます。
いくつか具体例をご紹介します。
1. 環境調整を行う
お子さんが過ごしやすい環境を整えることが重要です。
学校や園では、視覚的なスケジュールを活用することで、予定が分かりやすくなります。また、音や光の刺激を調整し、安心できる空間を作ることで、不安を軽減できます。
さらに、落ち着いて座れる場所や方法を工夫することも効果的です。
2. コミュニケーションのサポートをする
言葉でのやりとりが難しいお子さんには、ジェスチャーや視覚的なサポートを活用することが有効です。短く、具体的な指示を心がけることで、理解しやすくなります。
また、選択肢を提示しながら意思を確認することで、スムーズなコミュニケーションが可能になります。
3. 感覚への配慮をする
感覚の過敏さや鈍さに対応するために、お子さんが快適に過ごせるような工夫が必要です。
例えば、聴覚が過敏なお子さんの場合、イヤーマフなどで刺激を調整すると、外部の音の影響を軽減できます。
また、好きな触感のおもちゃを活用することで、安心感を得られることもあります。感覚統合を促す遊びを取り入れることで、苦手な感覚にも少しずつ慣れていくことができます。
4. 感情や行動のサポートをする
気持ちを落ち着けるための工夫も大切です。
感情を可視化するために、絵カードや感情スケールを活用すると、自分の気持ちを表現しやすくなります。
また、クールダウンの時間や場所を確保することで、気持ちのコントロールがしやすくなります。
さらに、ルールを具体的に示し、肯定的な行動を増やすことで、安心して生活できる環境を整えることができます。
まとめ
診断は、お子さんの特性を知るための手がかりであり、ゴールではありません。
最も大切なのは、お子さんが日々の生活をより快適に過ごせるように、困りごとに寄り添いながら適切な手立てを考えていくことです。
診断の有無に関わらず、お子さんにとって最善の環境や支援を見つけ、成長を支えていくことが、何より大切なポイントなのです。