
こんにちは。こども発達LABO.の西村猛です。
今回のVoicyでは、言語聴覚士の西村千織と一緒に、「幼児期の療育では、セラピーだけでなく保育や遊びの視点が大切」というテーマについてお話ししました。
幼児期の療育というと、「言葉の練習」「運動の練習」「手先を使う練習」などをイメージされる方もいるかもしれません。
しかし、幼児期の子どもは、遊びや生活を通してさまざまな力を総合的に育てています。
今回はVoicyでお話しした内容をもとに、なぜ幼児期の療育では「遊び」が大切なのかを改めて整理してみたいと思います。
言葉は「言葉だけ」で育つわけではありません
例えば、「なかなか言葉が出てこない」という場合。
言葉だけを繰り返し練習すればよいとは限りません。
人に興味を持つ、相手のしていることを見る、真似をする、一緒に遊ぶ、「見てほしい」「伝えたい」と思う、やり取りを楽しむ。
こうした経験も、言葉やコミュニケーションの発達につながっていきます。
そのため、言葉の発達を見るときにも、発語だけではなく、遊び方や人との関わり、理解、模倣、共同注意など、さまざまな側面からお子さんを見ることが大切です。
運動も遊びの中で育ちます
運動発達についても同じです。
幼児は、身体を動かすことだけを目的に生活しているわけではありません。
「あのおもちゃを取りたい」「向こうへ行ってみたい」「大人と一緒に遊びたい」。
そんな目的があるから、立ったり、歩いたり、手を伸ばしたり、しゃがんだりします。
遊びの中には、姿勢を保つ、身体を動かす、目と手を一緒に使う、力加減を調整するといった、さまざまな発達の要素が含まれています。
だからこそ幼児期では、何かを単独で「練習する」だけではなく、子ども自身がやってみたくなる遊びや環境をつくることも大切になります。
「遊び=自由に遊ばせておく」ではありません
一方で、療育で遊びが大切だからといって、ただ自由に遊ばせておけばよいということでもありません。
大切なのは、その子の現在の発達を見立てたうえで、遊びや環境を考えることです。
今どんなことができているのか。どこにつまずきがあるのか。次にどんな力が育ってほしいのか。
そうしたことを考えながら、遊びを選んだり、道具を工夫したり、大人の関わり方を変えたりします。
同じ遊びでも、お子さんによって目的や関わり方は変わります。
遊びを通して、発達を促していく。
これが幼児期の療育では重要だと考えています。
保育と専門職、それぞれの視点を生かす
幼児期の発達は、言葉、運動、手先、認知、社会性などが完全に別々に育つものではありません。
さまざまな力が影響し合いながら発達していきます。
だからこそ、「言葉ならST」「運動ならPT」「手先ならOT」と職種だけで考えるのではなく、お子さん全体を見ることが必要です。
日々の生活や遊びを幅広く捉える保育の視点と、それぞれの領域を詳しく評価する専門職の視点。
どちらか一方だけではなく、それぞれの専門性を生かしながら一人のお子さんを見ていくことが大切です。
幼児期の療育で重要なのは、「どんなトレーニングをするか」から考えることではありません。
まず、その子が今どのような発達段階にあり、どんな経験が必要なのかを考えること。
そして、そのための遊びや環境、関わり方をつくっていくこと。
幼児期の子どもにとって、遊ぶことそのものが大切な学びであり、発達の機会なのです。
Voicyでもお話ししています
今回のテーマについて、こども発達LABO.のVoicyで、理学療法士の西村猛と言語聴覚士の西村千織がそれぞれの専門職の視点からお話ししています。
「STとPTが口を揃えて言います『幼児期の療育は、やっぱりセラピーより保育が大事』」
記事では幼児期の発達について整理してご紹介しましたが、Voicyでは専門職として現場で感じていることも含めて、もう少し踏み込んでお話ししています。
